【イフリーテの秘宝】

40.祭りの後

ドラゴンクエストXランキング その日太陽神を拝んだ後、サマリもサーリーの家に戻り休ませてもらう事になった。 夜通し続いた祭りは昼まで続き、寝不足の身体に鞭打って街は片付けに入り、早めの夜を迎える。 サマリは、その日昼過ぎから再び食堂をサーリー…

39.日の出

ドラゴンクエストXランキング 『太陽神の顔』などと言うから、てっきり神殿へ行くのかと思っていたら、サーリーが連れて来てくれた場所は街の奥まった所にある階段だった。 「ここ、穴場」 サーリーは一言そういうと、東の空を眺めた。 雲が多く、太陽はあま…

38.井戸問題

ドラゴンクエストXランキング 「そうだよな。俺が小さい頃は無料だったのに」 と、客の方がぼやき、それに大きく同意した相手が、酒をドンっとテーブルに置いた為中身が溢れ散る。 サマリは、後でこっそりサーリーに事情を訊いてみようと思いながらひたすら…

37.月の姫

ドラゴンクエストXランキング 神殿の三階バルコニーは遠くて、人々が見る神官長や御付きの者達はとても小さい。しかし、サマリは後から出てきた月の姫の様子を辛うじて見分ける事が出来た。 背の高いスラリとした女性で、栗色の巻毛が華やかだった。自分と同…

36.代金

ドラゴンクエストXランキング 「こ、子供じゃありませんっ!」 思わずサマリは抗議の声を上げて、食堂の女主人を見た。 「うーん、良いよ、良いよ。今日は祭だし、サーリーの飯を食べて行きな。」 彼女は親切にそう言ってくれたが、サマリの「子供じゃない」…

35.スープ

ドラゴンクエストXランキング 「なっ!?お前、その水を直接飲んだのか!?」 サーリーは驚き、呆れ果てた顔でサマリを見た。 「な、なんなの、これ・・」 サマリの飲んだ水には塩気が含まれていた。 涙目のサマリは、苦笑いするサーリーの顔をじっとりと睨…

34.喉が渇いて

ドラゴンクエストXランキング ならず者達の注意が、駆けてくる青年サーリーの方に向いたその時を逃さず、腰にぶら下げていた短刀を鞘ごと引き抜いて逆手に持つと、サマリは右側の男の腹に向かって体当たりを喰らわせた。 グァッ! 突然のことに怯んで背後に…

【イフリーテの秘宝】第三章まとめ

こんにちは、ソルジーです ドラゴンクエストXランキング オアシスの村編が終わりましたので、まとめです。 第二章まとめ。中には第一章まとめリンクもあります。 https://solz29dq10.hatenablog.com/entry/2021/12/13/053618 【第三章】 25.一夜明けて ht…

33.マッカの街

ドラゴンクエストXランキング 気がついた時、サマリは一人だった。 マッカの正門から程近い外壁の脇に転がっていた。 「イッタタタタ・・・」 身体中が軋んで、すぐには起き上がれない。手足を庇いながらようやく砂の上に座り、自分の身体を眺めると、腰回り…

32.駱駝(ラクダ)

ドラゴンクエストXランキング 神殿の外壁を登ってサマリの家である天幕にたどり着く途中に、横穴が二つある。大きい方は、サマリの家に続いている。腰を屈めないと通れない小さな横穴は、ここ数年入ったことが無かった。 サマリは腰と背中に旅立ちの荷物をく…

31.旅立ちの準備

ドラゴンクエストXランキング オアシスの村を出て、マッカの街の神殿へ向かう決意を告げると、長老は心配そうな顔でサマリを抱きしめ、髪を撫でてくれた。 この前のように引き留めることはなく、サマリの助けになるようにと、裏手の小屋に案内し、一頭の駱駝…

30.譜

ドラゴンクエストXランキング 光が床から、石板に伸びて行く。 サマリの足元から、その光は、天井の文字を反転して映し出す。それが元から刻んであった記号のような意味のない文字と重なると、古代文字が現れた。 「サマリちゃん、歌って!歌って!ピピ!」 …

29.地下神殿

ドラゴンクエストXランキング 『ピー!ピピッ!』 ソルは長老を威嚇するように鳴いた後は、パタパタと部屋の隅の一番高い棚の上に陣取った。 長老を相手にする気はないらしい。 長老は数秒ほど固まっていたが、すぐに気を取り直してサマリにパピルスを渡して…

28.盗人の子孫

ドラゴンクエストXランキング サマリは、ソルからのお土産の物体をとりあえず腰の袋に仕舞い込んだ。それから、ソルに昨日からの出来事を手早く伝えた。ソルは人間の言葉を完璧に理解していて、会話は比較的スムーズに行われた。 会話出来ると知ったソルが、…

27.ソルの帰宅

ドラゴンクエストXランキング 早速、長老は、自宅にパピルスを取りに帰ることにした。 サマリもなんとなく着いていこうと立ち上がった。 ラウダにも会って話をしておきたかった。 村の中心に近づいて、サマリは注意深く周りを見渡した。忙しそうな日常。長老…

26.これから

ドラゴンクエストXランキング 「無事で良かった・・・」 心底ホッとしたように呟くと、長老はサマリの髪を撫でた。 (いつまで経っても子供扱いなんだから) そう思いつつ、嬉しくてされるがままになっているサマリ。 長老は、サマリが何処にも怪我のない事を…

25.一夜明けて

ドラゴンクエストXランキング 「う、うーん。ん?」 朝の日差しがサマリを照りつけ、眩しくて目が覚めた。 昨夜色んな事があって、サマリは地べたにそのまま倒れるように寝てしまったのだが、髪に付く砂が煩わしいだけで、身体はいたって元気だ。 疲れたのは…

【イフリーテの秘宝】第二章まとめ

こんにちは、ソルジーです ドラゴンクエストXランキング 本日は自分用に小説まとめです✨ 年末の連休には、少し書き溜めておけるかな。 第一章まとめ(1〜12話) https://solz29dq10.hatenablog.com/entry/2021/10/24/075000 13.村の長老 https://solz29d…

24.交換条件

ドラゴンクエストXランキング 今にも飛び立とうとしていたリヤハは、初めて興味を持ってサマリを見つめた。 金の髪は白く透けるような肌を縁取り、紫色の瞳はこちらを真っ直ぐに睨んでいる。 歯を食いしばり、己の恐怖心と戦いながらなお、立ち向かってくる…

23.種

ドラゴンクエストXランキング 『植えて育てるという発想は無かったな。クククッ、なかなか人間とは面白い。面白いが、いただけないな』 リヤハはそう独り言を呟くと、その場で動けずにいるサマリに近づいた。 『そのソルとかいうのは、何処にいる?』 「わか…

22.隠れ家

ドラゴンクエストXランキング いつもいきなり始まる【イフリーテの秘宝】ですが、一応ランキング登録後初なのでご挨拶。 一番上の題名に、全角数字のナンバリングがあった日は、小説です。 ドラクエと関係ないじゃん?とすっ飛ばす目安にしてくれても構いま…

21.村の不文律

『帰宅するサマリを引き留めてはいけない』 これは、ラウダが物心ついた時からずっと身に染みついているオアシスの村人達全員の不文律。 自分の祖父である長老自身が、そう決めたと聞いている。 どうしてなのか、小さい頃尋ねた記憶があったけれど、答えをも…

20.心配しないで

「な、何?鳥の子よ、お願いだから村を出て行くなど言わないでおくれ?」 配っていた肉をその場に放り出して、長老はサマリの方に向き直った。 その慌てふためきように、その場にいた誰もがキョトンと長老を見つめた。 サマリも、ここまで驚かれるとは思って…

19.無責任な大人達

ヤシの葉の上にトカゲの燻製の丸焼きがのっている。 赤みかかった豆のスープは、湯気をあげて優しい匂いを運んでくる。 サマリは、スープをヤシの実の器によそりながらクンクンと匂いを嗅ぎ、目を細めた。 今日は大勢が夕飯に集まってきているので、机では無…

18.突風

太陽は燦々と大地に降り注ぎ、大地は熱を蓄える。ゆらゆらと陽炎が昇る赤い大地に、その日は珍しく激しい風が吹き抜けた。 岩砂漠をうごめくモンスター達が、不思議そうに天を仰いだ。 丁度その頃。サマリは長老と楽しい遺跡の話がだいぶ進み、少し休憩しよ…

17.昼寝の終わり

風の上位精霊リヤハは、昼寝をしていた。 そろそろ寝飽きてきたので、起きようかどうしようか悩んでいた所、自分を祀る神殿の方角で、久しぶりに自分の眷属達の動く気配がした。 「ほう?珍しい事もあるものだな」 その気配はすぐに収まったが、何故だか非常…

16.石版

『サマリが長老の元を訪ねると、村の運営が半分止まる』と言うのが、ここ数年の一部の大人達の見解だ。 しかし、名目上引退した彼を繋ぎ止めるのも酷だろうという者もいる。 隙あらばサマリを呼び寄せ、遺跡の話をしようとする長老を毎日宥めすかすのも可哀…

15.孫娘としては

遺跡の話が始まると、この二人は時を忘れてしまうようだ。 ラウダは苦笑いして離れの自宅へ戻る事にした。 今日はあの黄色いインコがいないから、きっとウチに泊まって行くのだろう、とラウダは推測した。母に、サマリの分の夕飯と寝床を用意してもらわなけ…

【イフリーテの秘宝】第一章まとめ

こんにちは、ソルジーです テッテレ〜♫ ソルジーは、リンク貼りを覚えた! 第一章のまとめです。 1.プロローグhttps://solz29dq10.hatenablog.com/entry/2021/09/04/075000 2.オアシスの少女 https://solz29dq10.hatenablog.com/entry/2021/09/06/075000_1 3…

14.生い立ち

今朝方、サマリとナージフ、イブンとの間に起こった小さな騒ぎ。それを長老が知らないわけがなく、サマリは密かに怒られるのだと思って少し怯えていた。 別に長老が怖い訳ではない。長老は普段、孫娘よりもサマリに優しい。 怯えていたのは、自分が人を傷つ…