【イフリーテの秘宝】

13.村の長老

オアシスの村では、椰子の葉や幹を乾燥させて、簡易で風通りの良い家を作る事が多い。 その中で、唯一ふんだんに石を使用した家がある。 それが、長老の家だ。 どうやらだいぶ昔、何代目か前の長老が、村の外れにある遺跡の石を大胆に失敬して作ったらしいが…

11.空気の刃

⭐️昨日、すぎやまこういちさんがご逝去されました。ドラクエのコンサート、先生の指揮で聴きたかった! 私達に出来ることは、いつまでも忘れない事。 これからも、ドラクエ10 を楽しみ、先生の素晴らしい音楽と共に。 ・・・そして、空へ、伝説へ。 ⭐️ご冥福…

10.綻び

隊商のオアシス滞在期間は毎回短い。 本当の次の目的地である大きな街に行くのは、早ければ早い方が良いからだ。 休息を取り、食料を補充し、水を確保する。 村人にとっても、旅人にとっても、慌ただしい数日が過ぎ去り、別れの時は訪れた。 今朝から、イン…

9.視線

「サマリ、腕を上げたな。今日はここまでにしようか」 ナージフはスッと武器をさげ、サマリに声をかけた。 張り詰めていた空気は一瞬で解けて、替わりに野次馬達の労を労う歓声が沸き起こった。 「ナージル!私、強くなった?」 サマリは無邪気にナージフの…

8.前触れ

サマリはこの時点で、ナージフと違って全く息が上がっていない。 その細い身体の何処にそんな体力があるのか。 クルクルと地面を跳ね、ナージフの刃を交わす。 しかもサマリはこちらから攻撃を仕掛けようとはしなかった。 防戦一方。 彼女は、遊んでいるのだ…

7.其々の思い

暑く厳しい砂漠の旅の途中に訪れたオアシスの村で、傭兵達も緊張が少し緩んでいた。 一緒に野次馬をしていた傭兵仲間が、肩を寄せるように彼に近づいて、声を低めて話しかけてきた。 「イブン、お前も良く見ておけ?実際に魔物に襲われた時でさえ、隊長はあ…

6.手合わせ

村の外れの砂地。 普段は何も無いその場所に、十数人もの村人達が、輪を描く様に集まっていた。 男達は皆輪の中央を向いて、興奮した様子で声援を送り、女達は事ある毎に悲鳴と嬌声をあげた。 みんなの視線の先には、サマリとナージフの姿。 今しも二人は、…

5.小さな弟子の為に

隊商のオアシス滞在期間、サマリは毎日のようにナージフから武器の扱い方を習うようになる。 最初は子供のお遊びだった。 サマリは相手をして貰える事がただ嬉しくて、素直に言う事をきき、鍛錬し、期待に応えた。 砂漠の砂が水を吸うように、ナージフの伝え…

4.出会い

こんにちは、ソルジーです 今日は小説の前に宣伝‼️ 9月18日(土)今週末に、ポカさん主催の 「プクリポコレクション」inアズラン に、ドレアドレ のメンバーとして、グルドレで出演します。 お時間ある方、観にきてね ソルジーモデルデビューは、なんとプクリ…

3.遺跡の近くで

砂漠を越えるのは、この時代並大抵の事では無かった。 昼には太陽という名の敵、夜には魔物という名の敵。 移動する時間は、太陽の傾いた夕方と、早朝空が白み始めた頃の時間に限られていた。 勿論、体力のある者が単独行動をするなら日中でも移動できただろ…

2.オアシスの少女

太陽が沈み始めたオアシスの村の広場。 そこでは、昨夜到着した隊商が、思い思いに店を広げていた。 村人はお祭り騒ぎで店の品物を物色している。その喧騒の中、軽やかな空気を身に纏い、小柄な少女が高い塀の上から飛び降りてきた。 白い肌、薄い金の髪。 …

1.プロローグ

それは、神や精霊や悪魔が、まだ人と近かった時代。 加護も呪詛も、大きく人々の生活に影響し、人生を翻弄した、そんな時代。 海と河によって発達した文明は、人々に神殿を建てさせ、街を造らせた。 魔物から身を守るように街は外壁に囲まれ、冒険者はその壁…