17.昼寝の終わり

風の上位精霊リヤハは、昼寝をしていた。

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そろそろ寝飽きてきたので、起きようかどうしようか悩んでいた所、自分を祀る神殿の方角で、久しぶりに自分の眷属達の動く気配がした。

 

「ほう?珍しい事もあるものだな」

その気配はすぐに収まったが、何故だか非常に興味を惹かれ、長いまつ毛に覆われた瞳を気怠げに開いた。

最近つまらない事ばかりだったが、もうだいぶ寝た気もするし、そろそろ起きよう。

 

リヤハは身体を起こすと、ついとその気になる方角を見つめた。

ゆったりとした翠色の衣に身を包み、薄い土色の髪の毛が精悍な容姿を柔らかく見せる。

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彼にとって、歩く事と空を翔ぶ事は同義だ。

形ばかりのドア兼用の窓から空へ飛び立つと、両腕を組んで宙にとどまり、もう一度砂漠の果てを見つめる。

 

彼が意識を集中すると、身体はそこにあるまま、視界だけがどんどんと風の速さで進んでいき、オアシスの村の遺跡へ到達するとピタッと焦点が合った。

 

「ふむ・・。気に食わんな」

自分が寝ている間に、神殿が倒壊している。

何やらオアシスの周りがごちゃごちゃとして、人や、見たことのない建物が増えている。

 

自分を讃える石碑や柱が移動され、一部人間の家に使われているばかりか、誰も神殿の手入れをした様子もない。

 

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いつのまにこんな風になってしまったのか。

自分が昼寝を決め込んだのが、人間で言うところの何百年前なのか、リヤハには興味の範疇外だ。

リヤハはそんな時の流れの事などお構いなしに、自分が軽んじられた事に対して腹を立てた。

 

「アイツは、いったい今迄、何をしていたんだ?」

憤った様子でそう呟くと、視界を巡らせて一羽のロック鳥の姿を探した。

リヤハは昼寝をする前に、この自分の神殿の管理を一羽の雌のロック鳥に託したのだ。

彼女がこの神殿の上の岩壁に巣を作ることを許す代わりに、 人間どもが神殿の奥深くまでは入らないように。

(入らないようにしろとは言ったが、放置しろとは言ってない!!)

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リヤハは勝手な自分なりの解釈を思い出すと、段々怒りが増幅していくのを感じた。

ある程度の精霊への畏れが必要だということを、今こそヒトは思いしるべきだ。

 

オアシスの村の背後にそびえる岩壁は、一つの山といっても差し支え無いほどの厚みがある。

この山上に到達した者はまだ誰もいない。

上空から覗くと小さな穴があり、その奥の横穴に、大人が優に3人は寝られる大きさの鳥の巣があった。

 

そこが、ロック鳥の巣だった。

 

その時、巣は空っぽで、あまり使われている様子もない。

「なんだ・・・。留守を守らせるつもりがあいつ、何処へ消えた?」

リヤハは整った眉をあげて、怪訝な顔をした。

 

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          続く

 

 

🌹6日振りとなった小説の投稿。

 毎日、結構書くことってあるものですね。

ありがたいことです(^ ^)

小説要らないとか、言わないでね(笑)

本当はこっちがメインというかキッカケなの。