【イフリーテの秘宝】

70.繋がる過去

人気ブログランキング サマリは、長老の告白を聞き終わった時、自分が想像以上に冷静な事に気がついた。前からそんな気がしていたと言った方がいいかもしれない。予想が、確信に変わった、そんな感想だ。 ずっと抱えていた疑問も、ストンと胸に落ちた。 いつ…

69.取り引き

人気ブログランキング 連れ去られた乳飲み子を探す為に動き始めたのは、翌朝の事だった。後から思えば、その行動も遅すぎて、もし食べられてしまっていたり怪我をしたりしていたら、とうに間に合わない。 一緒に探すと言ってくれた息子には、生まれたばかり…

68.17年前のあの日

人気ブログランキング 長老は、時が来たら話そうと思っていたのだと苦しそうな表情で前置きをした。 それは17年前のシャウワールの月。オアシスの村長として毎日忙しく働く自分も、息子が一人前になってだいぶ楽になってきていた。先日は、四人めにして初め…

67.精霊信仰の在りか

人気ブログランキング 村総出の大移動が決まり、オアシスの村は上や下への大騒ぎとなった。しかし、まだ日蝕まで約10日あり、ナージフとイブンが乗った幌馬車と駱駝が到着していない。 神殿に近ければ近いほど被害が出る可能性がある、というサマリの言葉…

66.イフリーテの戯れ

人気ブログランキング 『サマリが村に帰ってきた。そして、何かをするらしい。出られるものはみんな村の門を出て砂漠の南側の地平線を見るんだ』 その話はあっという間に村中に広がって、大勢が仕事の手を休めて集まり始めていた。 サマリは、長老の家から少…

65.視線

人気ブログランキング サーリーは、ラウダとの再会を喜ぶサマリを(こんな顔もするんだな)と眺めていた。ラウダの元気さに吊られているところもあるがそのはしゃぎぶりは年相応で、安心する。 サマリは、サーリーと共に村長宅へと招き入れられた。長老への…

64.ただいまオアシスの村

人気ブログランキング サマリがオアシスの村を旅立って幾日が過ぎただろうか。 突然村長宅の駱駝(ラクダ)が、小屋の柱ごと居なくなったその夜であり、大騒ぎになったのはまだ記憶に新しい。 しかし、長老が自ら「その駱駝は自分がサマリに与えたものだ」と…

【イフリーテの秘宝】第六章まとめ

こんにちは、ソルジーです 人気ブログランキング そろそろブログを開始して一年になりますが、小説はまだ終わらないの。 忙しいのもあるけど、普段のアストルティア生活も書きたい事が沢山ある。掲載間隔が開くと、また見直して、加筆修正して、また他に書き…

63.枯れ果てた家の跡

人気ブログランキング 「村へ降りる前に、行きたい所があるの」 サマリは、疲れて巣で眠ってしまったソルを撫でながら、サーリーに告げた。 サーリーとしては、言われるがままついていくしかない。 洞窟の横穴をくぐり、途中から四つん這いになってサマリの…

62.隣り合う手

人気ブログランキング サマリにかかっている風の精霊の加護のおかげで、ソルの背中は快適で、たまに羽ばたく時に動く程度。雲を切り風に乗り、かなりの速さでオアシスの村へと向かっていた。 サマリは飛行中、自分がマッカに来た目的をサーリーに話して聞か…

61.モゾモゾの正体

人気ブログランキング 『ねぇぇ?サマリちゃーん・・・ピピ・・・』 太陽は西の空の向こうへ落ちて、夜はいっそう深まりつつあった。いつも天真爛漫なソルが、飛行中珍しく情け無い声を出してサマリに話しかけてきた。 まだ街を飛び立ったばかりだが、砂漠も…

60.白い翼は

人気ブログランキング 一方。自宅に戻っていつも通り荷物を片付け始めていたサーリーは、父のバンダルにサマリと会った話をした。 「聞きそびれたままになっちまったけどさ、そろそろ帰るみたいだったよ」 なるべく平静を装いながら話す息子を、バンダルは珍…

59.扉の前で

人気ブログランキング 用事を済ませたサマリは、どうしても送っていくと言うサーリーと共にギルドの隣の宿屋前までやってきた。此処にはナージフがその日の宿をとっている。下の食堂でこの後の行程について話し合う為、ナージフとイブンと落ち合う約束になっ…

58.ぎこちない二人

人気ブログランキング サマリの食糧調達の「心当たり」は女将の食堂だった。 まだ仕込みの時間で、表には客はいない。一人食堂の裏口へまわると、中からは準備をするガチャガチャした音と、人の気配、そしていい匂いが流れてくる。 (この匂い、あのスープだ…

57.帰村の準備

人気ブログランキング ナージフはざっと頭の中で必要なものを洗い出し、それをサマリに説明した。 単純に幌馬車が二台と言っても、それを引く駱駝(ラクダ)は替えを含めて三匹は欲しい。駱駝を扱う者が自分の他に最低もう一人。これはイブンに言えば喜んでつ…

56.再会

人気ブログランキング 大きな紫の瞳からこぼれ落ちる程の涙が、サマリの視界を遮った。無我夢中で走ってきたけれど、追っ手も無さそうだしだいぶ神殿から離れたはずだ、とサマリは走る速度を緩めた。 「あ!」 同時に気も緩んだのかすれ違う人と肩がぶつかり…

55.わからない事だらけの気持ち

人気ブログランキング 月の姫は遠慮もなくサマリに近づいて、目の前に立った。その様子は自信に満ち溢れ、サマリを気後れさせた。お供もなく単独で来たらしい彼女の着ている服は豪奢でシャラシャラと音を立てた。 (いい匂い。花の香りかしら・・・) サマリの…

54.魔石

人気ブログランキング イフリーテは、サマリからその石を受け取ると、楽しそうな表情で右手を石にかざした。 『そんなに期待するでないぞ?ほんのちょっとしたお遊び。。。ふふふ』 サマリは興味深々にイフリーテの手元を覗き込む。その鉱石は特に変化したよ…

52.リーテの後悔

ドラゴンクエストX(ドラクエ10)ランキング 昔。イフリーテが何の用事だったか空を飛んでいた時。偶然、独りぼっちの白いロック鳥と出会った。キラキラ光るものが好きな一匹と一人が意気投合するのに時間はかからなかった。火と風の属性の違いや、上位精霊と…

51.鳥の子

ドラゴンクエストX(ドラクエ10)ランキング ひと月後の日蝕の日、オアシスの水が湧き出る神殿周辺でイフリーテが秘術を行う。上手くいけば、水源が塞がる前の状態が保たれ枯れる事なく、神殿は綺麗になり、リヤハも体裁が整って納得する筈だ。 サマリは何と…

50.束の間の休息

ドラゴンクエストX(ドラクエ10)ランキング 同じ日の朝。この街を拠点とする隊商が数ヶ月の仕入れから戻り、無事マッカの門をくぐった。久しぶりの帰国に商人達は安堵の表情を浮かべ、歓声を上げる者もいた。 門番に歓迎され意気揚々と歩む隊商の最後尾を務め…

48.世界の約束

ドラゴンクエストX(ドラクエ10)ランキング 深くお辞儀をしたサマリは、再び顔を上げ、しっかりイフリーテの顔を見つめた。 こちらを見返すイフリーテの瞳の奥の焔が、品定めするかのように揺れている。 「お願い・・・します」 イフリーテの【とある提案】を…

47.間違い

ドラゴンクエストX(ドラクエ10)ランキング 「あの、教えてほしいのですが」 と、サマリはおそるおそる口を開いた。 「譜にはどんな意味が?リヤハ様の願いを聞き届けてくださいますか?」 イフリーテはその言葉にわずかに顔を曇らせ、掌の中のソルをそっと覆…

46.代償

ドラゴンクエストX(ドラクエ10)ランキング 何も声にならなかった。 サマリは自分の周りの人達と、これからもささやかな、穏やかな生活を送りたいだけだ。 孤児である自分を悲しんだ事もあるし、奇異な目で遠巻きにされている悲しみを感じる事もある。それで…

45.無知の罪

ドラゴンクエストX(ドラクエ10)ランキング 『どうしたものか・・・』 と呟いて、イフリーテはヒタとサマリを見つめた。紅い瞳の奥に小さな炎が揺れている。 『其方の努力に報いてやりたい気持ちも無くはないが・・・。リヤハにいいように使いに出されて、秘…

44.炎のその先

ドラゴンクエストXランキング サマリと、ソルと、どちらの言葉が聞き入れられたのかわからないが、すぐに炎の動きに変化があった。 目の前の景色が開けて、崖の代わりに炎のカーテンが現れる。 「道じゃないじゃない!!」 それは、サマリが期待していないも…

43.炎の神殿にて

ドラゴンクエストXランキング 次の瞬間、目の前に現れたのは両側に炎の柱の並ぶ神殿の風景だった。 「確かに炎の神殿には間違い無さそうだけど、これ、私、平気?」 サマリは、初めて自分が無鉄砲な事をしているのではないかと恐怖に震えた。 なんだか今まで…

42.表がダメなら裏からで

ドラゴンクエストXランキング 神殿の脇までくると、頑丈な門の奥に清らかな水を湛えたオブジェが見えた。 (あの奥に精霊の気配がある) 心が洗われるような、それでいて緊張するほどに清洌な空気が、サマリの身体を包むのがわかった。少し霊感の強い者なら…

【イフリーテの秘宝】第四章まとめ

こんにちは。ソルジーです ドラゴンクエストXランキング 今日は第四章マッカの下街編まとめです。 一から三のオアシスの村編はこちら。 https://solz29dq10.hatenablog.com/entry/2022/01/26/054525 人気ブログランキング 33.マッカの街 https://solz29dq…

41.出発の朝

ドラゴンクエストXランキング 『ピーピッピッピッ、サマリちゃん可愛いわね。ピピッ、キラキラ金の髪、素敵素敵』 サマリはソルの囀りと朝の光に起こされて背伸びをした。 昨夜、食堂を手伝っている間何処かへ行ってしまっていたソルは、今朝になってちゃん…