2.オアシスの少女

太陽が沈み始めたオアシスの村の広場。

そこでは、昨夜到着した隊商が、思い思いに店を広げていた。

 

 

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村人はお祭り騒ぎで店の品物を物色している。その喧騒の中、軽やかな空気を身に纏い、小柄な少女が高い塀の上から飛び降りてきた。

 

白い肌、薄い金の髪。

その姿は浅黒い肌の多い村人の誰とも似ておらず、異彩を放っていた。

粗末な服を着ていたが、汚れはなくこざっぱりとしている。

不思議な意匠の金の腕輪が、服よりも豪華で目を引いた。

金の髪は頭の上で一つにまとめられていたが、緩いウェーブを描いて無造作に顔の周りで揺れている。

大きな瞳の色は明るい紫色。

 

「ナージル!ナージルーーー!!」

着地する姿も軽く、砂埃が少し起こった程度。

少女はそのまま真っ直ぐに、屋台には目もくれず、1人の傭兵の元へと飛び込んだ。

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「ナージル!会いたかった!」

「サマリ!何度言ったら覚えるんだ?

 俺の名前は『ナージフ』!」 

 

感動の再会は、お小言から始まった。

そんなことはお構いなしに、サマリはナージフの胸に飛び込んだ。

 

ナージフの背丈は、サマリと同じくらい。

鍛えた筋肉と、おどけた優しい笑顔が印象的だ。

 

かなりの勢いだったはずだが、ナージフが普段鍛えている為か、足元は微動だにしなかった。

 

少女は嬉しくて仕方がない様子で、傭兵の側ではしゃいでいる。

「ナージルが来るなら昨日からこっちに来ておけば良かった!」

笑って座り込んだナージフの隣で早速くつろぐサマリに、近くにいた傭兵達が集まってきた。

 

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これも恒例なのだろう。

傭兵達が口々に冷やかす。

「おぅおぅ!隊長いいねぇ!可愛い娘のお出迎えだな」

「うるせぇ!こう見えても俺は独身だ!」

 

「久しぶりだな、サマリちゃん!また綺麗になったんじゃねぇか?」

「お前、間違っても手ぇ出すなよ?命が惜しくなかったらな?」

「わかってるさ。俺たちは、な?」

 

いつもの調子の気の良い彼ら。

サマリはニコニコとその様子を見ている。

仲間の傭兵達も、それこそ自分の子供の成長を見守るような優しい目で、サマリに話しかけた。

 

彼女の人懐こさと、天真爛漫な様子は、疲れた彼らのいっときの清涼剤のようだ。

 

ひとしきり騒いだ後、腹ごしらえの為にナージフ達はキャラバンのすぐ側の屋台に陣取った。

 

「ねぇねぇ、ナージル!今回は何日くらい逗留するの?また手合わせして欲しい!」

久しぶりに剣の相手をして欲しい、とサマリは目を輝かせてナージフにお願いを始めた。

 

「だから俺の名前はな・・・」

何度となく繰り返される他愛無いやり取り。

それはサマリにとって宝物のような時間であった。

 

 

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「ナージフ、お前の弟子は熱心だなぁ?」

「お、おぅよ」

 

サマリの興味は、女の子らしい服や装飾よりも手合わせの方にあるようだ。

 

そんなサマリを見て、傭兵達は顔を見合わせ苦笑いをした。

 

          続く

 

🌹俳優さん確保に一苦労。

 ゆーだぃ君のサブのジョージさんにお願いしました。ありがとう😊